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麻雀プロの決断

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日本プロ麻雀連盟の主要リーグ戦である「鳳凰戦リーグ」その頂点は鳳凰位だが、その鳳凰位に挑戦できるのは、A1リーグで戦う12名の内、成績上位者3名である。
このA1リーグに昇級できるのは、A2リーグに所属する16名の内、上位2名のみ。つまりA1リーガーは毎年2/12で入れ替わることになる。
一方、A2リーグは昇級できるのは僅かに2名だが、降級するのは4名となっており、昇級も難しい反面、調子が悪ければ直ぐにB1への降級が待っている過酷なリーグでもある。
連盟の鳳凰戦リーグはA1・A2のみが年間リーグで、B1以下のリーグは半年間のリーグ戦となっている。
去る2017年12月26日に行われたA2リーグの最終節B卓。対戦者は「⑪仁平宣明vs⑬古橋崇志vs⑭客野直vs⑮望月雅継」※○数字は対戦日の暫定順位。
同じ麻雀なのだが、A1リーグの戦いとA2リーグの戦いは全く別物だと言われている。素人である筆者が巧く説明は出来ないが、A1は相手の長所を消しつつ、マイナスを増やさない事に重きを置いて戦う事を重視しているように思う。一方、A2は兎に角、自分のスタイルを全面に出して、降級よりも昇級を目指す(ポイント叩き出す)事を重視しているように思う。
簡単に言えば、A1リーガーはA1に居続ける事を主眼に置いており、A2リーガーはB1へ降級するリスクを背負ってでもA1に昇級することに主眼を置いているのだろう。
また、BリーグとAリーグには分厚い壁があり、B1リーグからA2リーグに昇級した選手が初年度に苦しむ姿は毎年見られる光景でもある。
そして、今回の対戦者の仁平・望月はA1経験者で前期にA2に降級。古橋・客野は今期B1からの昇級組である。
仁平・望月は前期A1リーグでの不調から抜け出せず、A2にも対応出来ずにいる格好となり、古橋・客野は昇級の勢いだけではA2の壁を越えられて居ない格好だ。
ポイント的には望月が相当苦しい格好でほぼ降級決定のポジション。仁平は既に最終節を終えたダンプ大橋の上にいることから大負けしなければ安泰と思われるポジション。実質的にはボーダーの古橋vs客野の一騎打ちと思われたが、結果は1回戦2回戦を連勝した古橋が安全圏に早々に抜けだし、ほぼ客野と望月が降級と思われたが、最終節最終戦の南3局で客野が仁平を捲り残留を決め、仁平・望月の降級がほぼ決定した格好となった。
※まだ、残り2卓があるため、上位者が役満などを振り込むなどして大きくポイントを減らすと降級圏の選手も浮上する可能性はある。一応、8名が対戦を残しているので、最大6名が降級圏内にポイントを減らす可能性はあるのだ。(恐らく天和をアガルより低い確率だろうが…)
望月雅継そして対局を終えた選手を迎えて感想戦を行った際に、望月が鳳凰戦リーグからの引退を発表したのだ。
その理由は
望月雅継オフィシャルブログ「プロ連盟静岡支部長の負けちゃう麻雀
を是非見て欲しい。

いち視聴者であり、麻雀ファンで有り、連盟ファンである筆者からみれば、毎週とは言わないが月に1~2度静岡から自家用車で東京に来て対局して、その日に静岡に帰る競技者として生活は、精神的・肉体的・経済的に負担だろうと思う。
しかも、中部本部があるにも関わらず、彼とその先人達の尽力で、静岡に支部が出来て、支部長と言う立場から若手の指導・育成なども行っている。更に、自身が経営する麻雀店もある。多忙するぎる。
静岡支部出身者は猿川・古橋と若手もAリーグにまで育っていること。女流では池沢麻奈美が夕刊フジ杯で女王を射止め、第15回の女流モンド杯を優勝するなど大活躍しているのも、リーグ戦からの引退を決めることが出来る一因だったかもしれない。

最高峰のリーグで戦うプロのその集中力は尋常では無い。
自分以外の3人の対局者の息づかいや一挙手一投足に神経を尖らせ、ツモ切り・手出しの確認と記憶。自分の手牌と全員の捨て牌からの山読み・手牌読み。そして3者との距離感。
プロなら当たり前と言われるかもしれないが、やはり尋常では無いと思う。だからこそ、画面からでは放銃やむなしと思える牌が止まったり、逆に無筋を切り飛ばしてアガリをもぎ取ったり出来るのだろう。
そうした極限の麻雀対局には望月プロは多忙すぎるのだ。





また、日本プロ麻雀協会に所属の人気女流プロである「水城恵利」さんも麻雀プロを引退すると発表している。
彼女は野口恭一郎賞女性部門優勝という立派なタイトルを獲得している実力もあるプロである。
水城恵利の「麻雀は筋書きのないドラマだ。」
女流麻雀プロ 水城恵利の部屋
男性プロより稼げると言われる女流プロも本当の意味で麻雀プロとして、雀荘勤務では無く雑誌の取材やTV対局、雀荘のイベントやゲストなど、麻雀一本(パチスロやパチンコ含む)で稼げているのはほんの一握りの人気実力共にトップのプロだけだろう。
雨後の竹の子のように、若さとちょっと可愛いだけで、プロテストを合格して麻雀プロとして出てくるが、そんなに簡単に食べていける世界では無い。まぁキャバクラ勤めとの掛け持ちや、大手麻雀チェーン店の専属プロとして勤務することで、食べるには困らない程度だとは聞いてます。
ある程度名の知れた女流プロですら、OLとの「二足のわらじ」でプロ活動を続けているのが現状である。

競技麻雀・健康麻雀が社会的な地位を一定程度確保し、男性女性に限らず、麻雀プロが一日も早く社会的に認められる存在となる事を切に願うばかりである。
それには、業界全体が健全化に自助努力し、乱立するプロ団体が一つになる事が先決なのかもしれない。

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第3回女流モンドチャレンジマッチ!

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麻雀プロなら誰しもが出場したいと願うTV対局の一つが『モンド杯』だろう。
様々な意見はあるが確かに連盟重視の人選であったことは間違い無い。
そうした意見を取り入れたのか、最近では固定のメンバーでは無くリーグ戦下位のメンバーが予選から出場する入れ替え戦が行われ、連盟以外の団体のタイトルホルダーにも門戸が開かれた。
そんな中、第3回女流モンドチャレンジマッチ!が行われた。
出場メンバーは
池沢⿇奈美(予選落ち枠) ⽇本プロ⿇雀連盟
二階堂亜樹(予選落ち枠) ⽇本プロ⿇雀連盟
⽔城恵利 (予選落ち枠) ⽇本プロ⿇雀協会
⼤平亜季 (チャレンジ枠) 最高位戦⽇本プロ⿇雀協会
佐⽉⿇理⼦(チャレンジ枠) ⽇本プロ⿇雀協会
童瞳 (チャレンジ枠) ⽇本プロ⿇雀連盟
豊後葵  (チャレンジ枠) ←夕刊フジ杯勝者
東城りお (モンド推薦枠) ⽇本プロ⿇雀連盟
この8名。予選落ち枠だった和泉由希子は産休で出場を辞退。
空いた枠に東城りおが推薦枠(女神降臨などの実績から)で出場となった。

確かに、アンチ連盟方々を筆頭に推薦枠でも連盟プロか?と言うツイートや掲示板の書き込み、ニコ生でのコメントもあるが、興行的に考えれば人気・実力・ビュジュアルなど総合的な判断を運営側はするだろうし、プロ団体の最大勢力である連盟に気を遣うのは当然の事だろう。言い過ぎかもしれないが、連盟にそっぽを向かれたら、モンド杯は維持できないだろう。ネット配信のニコ生やアベマTVでもわかるように、連盟は独自のStudioとチャンネルを持って配信出来るだけの固定ファンがいるし、タレントも揃っている。しかし、最高位戦・協会・RMU・麻将連合などは、スリアロチャンネルからでなければ配信出来ないのが現実なのである。
二階堂姉妹を含む四天王の宮内・和泉は女流モンド杯を支えてきたし、人気もビジュアルも他の女流プロと比較しても遜色が無い、和久津・魚谷も雀力は高いし個性的な雀風で固定のファンは多い。高宮はモンドのシンデレラストーリーを達成しグラビアでも人気がある。黒沢は最近では一歩劣るがトータルで見ればこの中に居ても不思議では無いだろう。
協会からは愛内・水城、最高位戦から茅森とまぁまぁバランスは取れているだろう。なんだかんだ言っても、有料番組なのだから、お金を払ってでも『見たい!』と思われる固定のファンを持った女流プロが出場しなければ、運営側は番組を維持できないのだ。それが資本主義の現実である。

B卓の2回戦オーラスの状況
八万九万八筒九筒二索四索四索五索八索九索東中 東七索

牌スペース五筒五索二筒七筒一索六筒二万八万五索
牌スペース牌スペース牌スペースツモ切り牌スペースツモ切りツモ切りツモ切りツモ切り      ツモ切り←ツモ切り
中s二索s四索s二筒s五筒s一索s六筒s二万s八万s四索y

八万九万七筒八筒九筒五索五索五索七索八索九索東東
リーチ・三色で出アガリ7,700点(ツモなら12,000点)以上の手

この時点で一騎打ちの亜樹の手牌は
二万三万五万五万六万九万九万三筒四筒五筒一索三索三索 二筒
二向聴で三索九万のトイツを重ねて、現物の1索切りか中筋の5萬を切って1-4-7萬(4萬二度引き)に出来れば勝負だが、直撃は激痛になる状況だけに現物を切りつつ廻るしか無い状況になっている。



少し戻って、解説してた宮内が言っていたが、東城は最低でも連荘しなければならない状況だけに、聴牌優先で考えれば有効牌の多さから、9巡目に持ってきた八万をツモ切りせず、五索切りで3-6索の両面待ちと8萬と東のトイツに受けていたら、5索が重なる前に佐月から切られた東を鳴いて1,500点の聴牌としてアガリがあった可能性もあり、スルーしたとしてもリーチ後に東を引いているので3-6索待ちの聴牌となっていた。
3-6索待ちの聴牌時の牌姿は
八万八万七筒八筒九筒四索五索七索八索九索東東東
となり、三色よりは打点は半分になるが両面待ちで、序盤に2索4索が切られ、リーチ前に5索がトイツ(2枚目はツモ切り)で切られている状況から3-6索は無筋だが、対局の状況から拾いやすい河になっている。
中s二索s四索s二筒s五筒s一索s六筒s二万s五索s五索s三筒s九筒s九万y
もちろん、ダマもあるだろうが2,000点を拾ってもそれ程嬉しくない状況であれば、ツモって裏ドラ期待の方が価値は高いと思う。


対局に戻ると、山に4枚残りの7萬が全く姿を見せない中、14巡目に亜樹が廻りながら聴牌。
三万四万五万五万六万九万九万三筒四筒五筒三索三索六索 九万
無筋の6索を切って4-7萬の聴牌を取るかどうかの選択を迫られる。
6索切りでダマもリーチもどちらも正解だろうし、更に廻る選択も正解だろうと思う。自身があがれば終了という一方で、放銃すれば裏ドラもあるルールだけに勝負が決まってしまう放銃になる局面だけに、ギリギリの選択だろう。
結果的に亜樹は現物の3筒切りを選択。
解説の宮内は3-6索は通りやすそう…。と言っており、『7萬引きそうですね。亜樹ちゃん』とも言っている。ここで勝負に出ないとアガリ牌を引く可能性が高いとも指摘してた。
次巡、亜樹は6索勝負ならあがっている7萬を引く。流石「桜花様」である。

しかし、亜樹の雀風からして通りそうでも無筋の6索切り勝負は無いだろう。
状況とすれば、例え東城が12,000点のツモ和了でも条件的に、東城はもう一度12,000点をあがらないと自身のトータルポイントを捲れない状況であり、アガリ止め出来ないモンドルールでは、次局かその次でアガリ切ってしまえば良いので、自身が振り込みに廻って最悪12,000や7,700放銃なら、次局東城は不聴終了が出来るので、東城の条件を軽くする事の方が致命的だと考えるだろう。

結果は、東城の一人聴牌で流局となり、次局に亜樹が上がって亜樹が女流モンド杯の本戦出場権を獲得した。

予選落ち枠で出場予定の和泉が産休で空いた枠に主催者推薦枠として女神降臨から出場した東城は惜しくも高宮の再来とはならなかった。


また、チャレンジマッチA卓は池沢⿇奈美(連盟)vs⽔城恵利(協会)vs⼤平亜季(最高位戦)vs童瞳(連盟)の組み合わせで行われ、所詮トップの池沢が2回戦目は苦しんだが、初戦のポイントを活かして逃げ切った。
女流モンド杯チャレンジマッチ2016 二階堂亜樹 池沢麻奈美

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