アーカイブ | 11月 2017

「三方良し」の画期的な業務提携

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日本プロ麻雀連盟とイオンファンタジーが業務提携
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​​​​​​​​​​2017年11月13日に、雀荘業界としては画期的な一大ニュースが発表された。
それは、プロ麻雀団体最大手の日本プロ麻雀連盟と、イオン株式会社の子会社である、イオンファンタジーが、健康麻雀の普及に向け、業務提携を結んだ!と言うもの。

確かに「健康麻雀」と言えば、「日本健康麻将協会」(1988年設立)や「麻将連合μ」(1997年設立)が先駆者かもしれないが、いかんせん規模が小さすぎる。

日本健康麻将協会は特に自団体をプロ化しておらず、基本的には運営面で活動している程度。
麻将連合μも認定プロは21名(2017年11月現在)と少なく、認定プロになるためのツアー選手もそれほど多くない。また、認定プロになるためには健康麻雀の普及活動に日頃から尽力することを求められているが、団体としての応援は基本的には無い。

イオングループでは「朝活」と称して通常の開店時間を2時間早めることで、無料参加できる体操や囲碁、将棋などを楽しみ、仲間とカフェで朝食をとるサービスがヒットし、店の売り上げは前年同期比で30%増と好調な企画なのだ。
顧客の要望もあるのだろうが、健康麻雀だけでなく麻雀教室の需要も見込めると判断したのだろう。更に麻雀を知れば必ず聞くであろう有名・人気プロがゲストや講師として来店するとなれば、安定的なシルバー層の囲い込みに繋がり、売り上げアップが見込める訳です。それには人気プロや有名プロが多く在籍する日本プロ麻雀連盟を選択するのは必然だったのでしょう。

「健康麻雀」にとどまらず、麻雀は手先を使いながら考える(脳を使う)必要がある。まして「競技麻雀」とは異なり自分を含めた3人の仲間と日常のことや、今の麻雀の手牌や相手の待ち読みなどの会話するため、認知症予防の効果があると言われており、篠原教授(諏訪東京理科大)の研究により年齢が3歳若返えるとの実証もあるほどです。
また、アメリカの研究により、マージャンをやっている人は認知症発症率が低いことが証明されています。
つまり、「健康麻雀」を普及することは、麻雀人口の増加という麻雀界全体の底上げだけではなく、認知症予防と言うある種の社会貢献に繋がる事業の一躍に現役プロが講師やゲストとして参加出来る訳です。
社会貢献とまではいかなくても、先日終了した​「第二回世界リーチ麻雀選手権」​にも、第一回大会から連盟はメインの協力プロ団体として多くの在籍プロを選手として派遣(選手の渡航費や宿泊費は選手の自己負担)しており、ある意味で身銭を切って麻雀の普及に尽力している。​​​​​​​​​​※主要プロには森山会長より半強制参加のお達しがあったとか無かったとか…





話を元に戻せば、ひとまず全国100店舗程度を目標とし、その第一歩として、提供されるサービスが、健康麻雀「東一曲」の新規オープンとのこと。
これは狭い麻雀業界にしてみればメチャメチャ大きい規模だ。
一般的なフリーのリーチ麻雀チェーン大手でも全国で10店舗~15店舗しか店舗展開出来ていない。
毎日の営業では無いにしても規模で言えば10倍近い店舗展開である。しかも関東や大阪・福岡など大都市圏だけではなく地方にも健康麻雀「東一曲」が出来るわけで、連盟に所属している地方在住プロの収入源となり得る。

麻雀プロと言っても、プロ野球やプロサッカー選手と違って、契約金や年俸が所属チームから支払われる訳で無く、どちらかと言えばプロゴルファーや稼げる金額で言えば、女子プロボーラーに等しいくらい稼げない。​​​​​​​​​​※まぁプロゴルファーでも底辺は稼げていないだろうし、プロボーラーのトップは年収2,000万円超えるらしいが…

プロ雀士の殆どが、麻雀店勤務か会社員(プログラマーとかSEとか個人事業主も居る)との両立で、所属団体に毎年登録料を支払って「プロ」を名乗っている状況である。
それが、所属団体が業務提携して全国展開で仕事が出来る場所を提供するわけで、地方在住のプロや若手・中堅プロにとっては少なからず有り難い事だろう。絶対では無いが、麻雀プロが麻雀を生業として活動を続ける足掛かりにはなる。

ここ数年、インターネットでの生動画配信が活況となり、麻雀界も多分に漏れず多くの対局番組が放送されているが、自団体のリーグ戦や自団体主催のタイトル戦を自前のスタジオから放送しているのは連盟しか無く、この放送番組を製作し配信などの運営、ナレーションや実況・解説も自団体所属のプロ雀士が担っている。そうして少しでも所属プロが稼げる環境をどの団体よりも積極的に行っているのが日本プロ麻雀連盟だ。
全てを纏めると、

  1. ​​ イオンは健康麻雀「東一曲」を全国展開する為の講師などを含む人材が確保でき、本業の売り上げアップにも繋がる。
  2. 健康麻雀「東一曲」に来店するシルバー層は著名プロや人気プロなどに会えるチャンスが広がり、麻雀プロから直接指導して貰えたり出来る。更に認知症予防にも繋がり、健康で元気に暮らせる。
  3. 所属プロは収入を得る場所が増える。
  4. 連盟はプロ団体として社会貢献出来るだけでなく、所属プロが麻雀を生業として生活できる環境を提供することで、所属プロの更なる獲得やレベルアップにも繋がる。
  5. 麻雀業界としては、麻雀人口の増加が期待出来るし、麻雀=ギャンブル(賭博)と言うダーティーなイメージ払拭にも繋がるだろう。

​​

など、多くのメリットがもたらされる事になる。
無論、旧態然とした「賭博」と言う違法性の要素を多分に含んでいるゲームだけに、業界団体だけでなく麻雀ファン全体の自浄作用も必要だろう。筆者からすれば麻雀のギャンブル性は胴元が居るわけでは無く、卓を囲む客4人での単純賭博であり、パチンコ・パチスロの三店方式換金の方が遙かに違法性が高いと思うし、どちらかと言えば、お客がお金を掛けないで麻雀をして何が面白いの?と言う要望が多いから、麻雀店もそうしているだけで、最近多く見るようになったノーレートの麻雀店の方がお客が多くなるのであれば、一斉にそちらにシフトするだろう。麻雀店経営者が自ら違法賭博で逮捕されるリスクを背負ってまで経営する必要が無くなれば良いのだ。​​​​​​​​​​※単純賭博を助長したり、正当化しているわけではありません。





今後は講師やゲストなどでの所作やシルバー層にも分かり易い丁寧な指導方法、言葉遣いなども要求されるだろうが、連盟であればシッカリと対応するだろう。

    • インターネットオンライン麻雀ゲーム「ロン2」の開発・運営。
    • コナミ(株)との業務提携による遊技機「麻雀格闘倶楽部」へのプロ雀士の参戦やタレント派遣。
    • その他、CSなどの対局番組の共同製作やタレント派遣など

様々なビジネス展開を着実に行ってきた日本プロ麻雀連盟だが、その殆どが現会長の森山茂和氏の手腕に寄るところが大きい。
森山会長のビジネスマンとしてセンスはおそらく一般企業の経営者、或いは起業家としても抜群なのだろうと思う。

個人的にはこうした活動を通して、様々な経緯があって複数のプロ団体が存在している状況が、最終的には一つのプロ組織として纏まり、プロ認定試験も統一され、健全なゲーム・スポーツとしてスポンサー企業も付き、年間を通した競技麻雀のツアー(イメージはプロゴルフツアーみたいな感じ)などが開催される事を願うばかりである。

そうなれば、四人麻雀・三人麻雀も含め、現在の連盟公式ルールやWRCルール、最高位戦ルール、最高位戦Classicルール、協会ルール、モンドルールなど、様々なルールの下で成績に応じたポイントを獲得して年間王者を決めることも可能だろうし、一般参加も出来るようになるだろう。
また、数多くの伝統あるリーグ戦は消失する可能性はあるが、タイトル名は残せるし、数多くの試合が行われれば、ルール毎の上位者によるプレーオフでそれぞれの冠タイトルの重みも残せる可能性は高い。
「プロ」と呼ばれる選手が居る競技ながら、運の要素が占める割合が多い麻雀は、おそらく唯一「プロに勝てる」​競技であり、アマチュアからすればそれも楽しみの一つである。​​​​​​​​​​※あくまで半荘1回や2回の勝負ならばで、長く戦えばプロが勝つ。
だからこそ、競技麻雀・健康麻雀が普及しやすい素地があるだけに、各団体が個別に活動しているのが残念でならない。
現状の競技麻雀界は「三方良し」では無いのだ。各プロ団体のトップや上層部達が一日も早く行動してくれることを切に願うばかりである。​​​​

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第15期プロクイーン決勝の考察

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第15期プロクイーン決定戦の決勝戦は10月15日・22日・29日の3日間で行われた。
結果は西嶋ゆかりプロが初タイトル戴冠となった。
この戦いをデータで振り返ってみた。

西嶋 魚谷 山脇 宮内 清水
親番回数 33 35 32 35 27
リーチ回数 23 32 35 33 26
リーチ率 14.2% 19.8% 21.6% 20.4% 16.0%
Rツモ回数 5 11 4 8 4
Rロン回数 8 8 13 6 5
R全和了回数 13 19 17 14 9
R成功率 56.5% 59.4% 48.6% 42.4% 34.6%
ダマ回数 16 7 7 9 2
ダマ率 9.9% 4.3% 4.3% 5.6% 1.2%
副露回数 13 30 18 14 15
副露率 8.0% 18.5% 11.1% 8.6% 9.3%
ダマ・副露和了回数 13 13 9 13 5
ダマ・副露和了率 44.8% 35.1% 36.0% 56.5% 29.4%
全和了回数 26 32 26 27 14
全和了率 16.0% 19.8% 16.0% 16.7% 8.6%
全和了点数 168,600 225,800 138,800 139,900 68,400
全和了平均打点 6,485 7,056 5,338 5,181 4,886
放銃回数 8 15 7 16 26
R後放銃回数 2 3 2 6 4
R後放銃率 8.7% 9.4% 5.7% 18.2% 15.4%
全放銃失点数 22,200 72,600 60,200 75,400 124,300
全放銃平均失点 2,775 4,840 8,600 4,713 4,781

※清水は10回戦後途中敗退となったため、2半荘分加算されてません。
※ダマ:1局の中で聴牌したとしても、終局(和了および流局)時に聴牌していなければ「ダマ」とカウントしていません。
※副露:1局の中で1回でも副露を入れたら1回とカウント。2副露3副露しても1回とカウントしています。
※R後放銃:自身がリーチ後に他家に放銃した回数。
リーチが成就しなかった時の失点や供託の加点、本場の加点や失点、他家ツモによる失点は集計していません。
データの集計方法には改良の余地は多くありますが、そこはお許しください。


集計結果的に特記すべき点は
1.魚谷の副露回数(副露率)が圧倒的に多い(高い)。
2.魚谷の全和了点数が他を圧倒している。
3.西嶋の全放銃失点が圧倒的に少ない。
これぐらいだろうか?
恐らくこのデータを見ただけでは、誰が優勝したのかを見極めることは難しいだろう。特に他家のツモ上がりによる失点データが集計されていないのでわかりにくいかもしれない。
※清水の勝ちが無いことは判断できそうだが…。
優勝争いをした西嶋と魚谷のデータだけに注目しても、データ的には魚谷が優勝でも不思議では無い内容となっている。
この要因を作ったのは、5人打ちのため抜け番があることだろう。
これを知った上で結果からデータを検証すると、一つの推測は出来る。
それは『魚谷が点数を稼いでいたのは、西嶋の抜け番だったのでは無いか…。』と言うこと。
実際に3日目の9回戦で魚谷は110,000点近い得点を稼ぎ出して居たが、その卓には西嶋は居なかった。つまり、魚谷は加点はしたが、その加点によって西嶋が失点していなかったのである。3着に甘んじた山脇は大きく失点しており、魚谷と120p近いポイントが生じた。
この差が勝者の西嶋と惜しくも二位に甘んじた魚谷との結果を分けた要因では無いかと思う。
また、西嶋の放銃による失点が極端に少ない事は、他家の先制リーチや仕掛けに対して徹底して「オリ」を選択していたと誤解しがちがちだが、実際には誰よりも無筋を切り飛ばしていた。致命的な放銃による失点が無かったことも、西嶋が戴冠した要因であろうと思う。
これはデータだけはわからないことである。

今回、僅か12半荘のデータ化だったが、打ち手の特徴は結構如実に表れるのだと感じた。
西嶋はリーチ率は低いがリーチ成功率が56%と2回に1回以上はリーチをして上がっている。一方で副露率が低くダマ率が高いので、面前重視だがギリギリまで聴牌を取る麻雀だと推測出来る。それが全和了率が16%でも平均和了点数が一発裏ドラがあるルールとはいえ、6,500点弱となっている。所謂、面前重視の良形待ち高打点タイプだとわかる。
魚谷は、副露も多くリーチ率も高いので、和了に向かって全局参加型で現代流の麻雀だとわかる。
山脇は、データ的には魚谷に近いデータとなっているが、放銃による失点よりも平均放銃失点が高いことから、その半荘で致命的な失点によって、着順を落としている可能性が高い。これが初日トータルトップながら二日目三日目と失速した要因かもしれない。
宮内は突出したデータが無いが、自身のリーチ後の放銃が多いことから、勝負手を悉く空振りに終わったことが致命傷となった可能性が高い。
清水は他4人と比較ても圧倒的にダマ回数と和了回数が少なく、放銃回数が多いことから、勝負に行って負けている事が敗退の要因なのが一目瞭然である。

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