コロナと雀荘

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緊急事態宣言で雀荘も休業要請の対象となって、多くの雀荘経営プロが雀荘継続の為に苦労している。

ビジネスをすれば経営者として、様々な状況に対してリスクを受け入れながら利益を追求しなければならない。ただ、問題は知名度の高い麻雀プロが経営する雀荘は客との距離が近いので、同情を集めやすいと言う部分でしょう。

幾つかのプロ雀士経営の雀荘がクラウドファンディングなどを使い資金を募って経営の危機を乗り越えようとしている。経営者としてはありとあらゆる手段を取って事業を守り継続するのは当然の事だが、この手段を取れるのは本当に限られた知名度が高いプロが経営する雀荘だけだと言う事で、知名度の低いプロ雀士がオーナーの雀荘や実質的なオーナーが別に居る雀荘はこの種の手段を使えない。ひたすら我慢するか、経営的な判断で閉店を決断する事になるだろう。無担保・無利子の融資を受けたとしても借金であることには変わりない。返済の義務は負うのだから、常にギリギリの経営では返済もままならないだろう。

問題の本質はコロナでの休業要請では無い。YouTubeの麻雀遊戯王チャンネルの麻雀遊戯BARのコーナーにゲストとして招かれた藤田晋氏(株式会社サイバーエージェント代表取締役社長でありMリーグ機構のチェアマン件、渋谷ABEMAS監督)も話をしていたが、兎に角、雀荘が儲からない仕組みを自ら延々と遣っていると言う事。

経営面で考えれば致命的だ。資産運用というか、遺産相続のためか学生街や大学の近くにある雑居ビルのオーナーが家賃が無いから始めた雀荘などを除けば、3~4卓の規模ならそこそこの家賃は発生する。地方なら格安かもしれないが、首都圏や地方都市なら1店舗あたり最低でも5~10万の賃料は発生するだろう。そこそこの大箱なら20万~30万は必要で、条件次第でそれ以上かもしれない。そこに水道光熱費、微々たるモノかもしれないが、おしぼりやフリードリンク代。そして最大の支出が占めるのはスタッフの給料。殆どはシフト制のアルバイトスタッフだろうが、オンレート店では固定給は格段に低く設定されて、不足分は麻雀で勝って稼げ!と言う仕組みだ。アルバイトスタッフで考えれば時給1,000円で常時3人として12時間営業で最低でも36,000円になる。運営上休憩時間もあるので4人になる時間も考慮すると40,000円は給与で出る計算になるので月額で120万だ。更に、後は開業時の改装費用や自動卓代の返済などもある。返済は別として運営するだけで月額150万円近いお金が出ていくだろう。セット専門で従業員は常時1人で良い雀荘は今回は対象外。

支出が月額150万円だとして、収入は?と言えば基本的にはゲーム代のみ。これがほぼ20~30年前と変わらない。都内でも1ゲーム400円~500円。500円として4人なので2,000円。東南の1半荘なら1卓の半荘が早くても1時間。12時間フル稼働させて24,000円の売り上げになり、4卓稼働の満卓なら96,000円だが、恐らく勤め人が来店する18時以降に混雑し、あとは土日祝日などはオープンからそこそこ稼働するだろうが、おしなべて考えれば稼働率50%~60%が良いところだと思う。つまり日額50,000円の売り上げなので、月額150万円。

計算上は成り立っているが、これでは経営者の給料が出ないし、初期投資を回収出来ない。経営者自らスタッフに入るなど色々やり繰りして支払いをもう少し下げ、売り上げを上方修正しても、自分が生活出来て初期投資分を返済してトントンとなり、全く余裕が無い状態になる。東風専門で営業すれば、1ゲームが短くなるが場代を下げないと東南雀荘と比較すれば割高になるので、結局は1ゲーム350円程度に下げてゲーム数を増やすことで売り上げ増を狙っているが、焼け石に水状態は明白。これでは、なんらかのトラブルが発生すれば忽ち立ち行かなくなるのは明白。

そもそも、雀荘の唯一の収入源である場代を考えて見よう。現代社会で勤め人が1時間500円で遊べる場所が他にありますか?漫画喫茶やネットカフェならパック料金を使って1時間400円程度なので同等だが、個人的には暇つぶしの域を超えないと思える。ドトールなどでコーヒー飲んでも1杯300円程度だし、スタバなら500円。一昔前の呼び方だが、純喫茶でマスターが拘ったサイフォン方式で煎れた珈琲を飲めば600円~900円は必要でしょう。映画を映画館で観れば1,800円前後必要。1本2時間なので半分で計算しても900円になる。勿論、飲み物代は有料(笑)。つまり、麻雀をドリンク付きで楽しむと考えれば1半荘安くても800円は必要で、プロ雀士が常勤しているなら1,000円程度の料金設定でも不思議では無いって事だ。

場代が1ゲーム1人1,000円なら、それこそプロ雀士もゲストで呼べるだろうし、常勤の女流プロへの給料も充分な金額を設定出来る。人気や知名度の高いゲストプロなら同卓券を別売すればゲストプロへの依頼料も賄える。つまり、雀荘を経営として考えれば支出差額を日額25,000円~30,000円出せるような料金設定にすべきなのに、自分たちでデフレ状態を作り出し、自分たちで経営難を招いているだけなのだ。全国麻雀業組合総連合会が一致団結して値上げに踏み切る必要があるし、その時期に来ていると思う。

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